文屋康秀

小倉百人一首 022

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ

ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ

文屋康秀

読み

ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ

現代意訳

山風が吹きおろしてくると、たちまち秋の草や木が萎れてしまうので、きっと山風のことを「嵐(荒らし)」いうのだろう。

※むべ / 「もっとも」の意

季節



出典

「古今集」

解説
文屋康秀(ぶんやのやすひで/生没年不明)は平安時代初期の人で、貞観二年(860年)刑部中判事、陽成天皇の時の元慶元年(877年)山城大掾、同三年、縫殿の肋に任ぜられた事などが伝えられていますが、詳しいことは分かっていません。
しかし、文屋康秀は歌人としては有名で、在原業平小野小町たちとともに、紀貫之が選んだ六歌仙のひとりに数えられています。

平安時代には、漢字を分ける言葉遊びの和歌が流行りましたが、この和歌はそういう面白さを詠ったもので、「あらし(嵐)」という文字を「山」と「風」に別けて、詠み込んでいます。
また、言葉遊びにとどまらず、「あらし」に「(風)が荒らし」をかけていて、歌の調べも軽快です。
自然の風情を巧みに表していて、秋の寂しさなども伝わってくる和歌になっています。

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