源兼昌

小倉百人一首 078

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守

あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよれざめぬ すまのせきもり

源兼昌

読み

あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよれざめぬ すまのせきもり

現代意訳

淡路島から通ってくる千鳥の鳴き声に、幾晩目を覚ましたことであろうか、この須磨の関の関守は…。

※須磨の関守 / 「関守」は関所を守る人で、当時、須磨の地には関所があった

季節

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出典

「金葉集」

解説
源兼昌(みなもとのかねまさ / 生没年不明)は宇多天皇の皇子 敦実親王六代の孫にあたり、美濃介俊輔の次男です。
従五位下皇后宮大進を任ぜられていますが、後に出家しています。
「勅撰集」には7首が残されていて、藤原忠通が催した歌会にも、しばしば出席しています。

この和歌は、「源氏物語」の主人公である光源氏が、須磨(現在の兵庫県)で寂しく暮らしたという気持ちになって源兼昌が詠んだものだと言われています。

須磨の地は、光源氏が官位を剥奪され、自らが隠棲したところで、「須磨」は物悲しいという心象がありました。
兼昌は、この「須磨」の心象を詠み込んでいますが、関所を守る関守の気持ちを推し量ることで、更に余情をもたせています。

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